2010年2月25日木曜日

クナル・カラニさん

「たばこ」

僕は、たばこ。
今日、工場から出荷されて来たばかりなのに今は、熱いアスファルトの上にいる。
僕を買った青年が、あまり良い環境で育ってないのだろう。僕は、灰皿にも入れられ
ず、くしゃくしゃにされて、地面でただ静かに待っているだけ。
何を待っているかって?僕を拾って、灰皿に入れてくれる人を待っているんだよ。
ココは、インドのムンバイ。そんな人が現れるはずがない。ここがもしシンガポール
なら、すぐにでも拾ってくれるだろうに。タバコの生産工場で働いているおじさんの
話によれば、シンガポールでは、僕を捨てた瞬間に罰金を払わされるのだそうだ。な
んて、良い国なんだ。なんてことを思い出したりしていると、雨が降って来た。イン
ドでも雨が降るんだな。あ、これがモンスーンか。だんだん、熱いアスファルトが冷
たくなってきちゃった。モンスーンは、ただの雨じゃないな。かなり激しい。僕は、
勢い良くアスファルトの上を押し流されるように様々な場所に流された。僕は、流さ
れながら目に入ってくるムンバイの町をただ、静かに見ているだけだった。あっとい
う間に、ガンジス川に到着した。ガンジス川は、茶色く濁っていてお世辞にも綺麗と
は言えない川だ。ここで、人々は生活のための水とともに暮らしている。生まれてか
ら死ぬまで。この土地で生まれた人は、死んだら最期にこの川に流される。そう、こ
の川の中は死体だらけだ。ここの土地の人たちは、怖いなんて考えもしない。むしろ、
神聖な場所として受け止めている。僕もこの川に流されているということは、最期な
のかな・・・。タバコって、紙から出来ているから、水にはとても弱い。もう、僕の
体はボロボロだよ。もう疲れてきちゃったよ。もう何日が経っただろうか。モンスー
ンは去り、僕はインド洋の海岸に流されていた。漂流して来たのだ。僕の周りには、
同じように漂流してきた友だちがたくさんいた。空き缶だったり、花火の残骸、そし
て流木がたくさん。みんな、疲れた顔をしている。僕は、皆の顔を見て、元気づけよ
うとした。歌を歌ったり、お話をしてみたり。でも、誰も僕の歌や話に耳を傾けよう
としなかった。それどころか、「黙れ」と言われて僕は静かになった。「黙れ」と言
ったのは、流木だった。流木は、そう言った後、「俺らはな、もう無理して元気を出
さなくても良いんだ。もう、役割は終わったんだ。」タバコは、目をウルウルさせて
聞いた。「もう、ゆっくり休んでいいんだよ。」そう、優しく呟いた流木は、また、
海に流されて行ってしまった。その姿は悲しそうでもあり、何かを語りかけるようで
もあった。そうして、そうして、僕の短いようで長い人生は終わりを告げた。

3 件のコメント:

  1. キンバリー・ソング2010年3月1日 15:06

    じじょでんですね。面白かった。あのタバコは少しさびしいだと思っています。私はタバコがきらいです、でも、このじじょでんはいろいろ考えさせられることです。

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  2. アマンダ・バーネット2010年3月4日 1:07

    このお話はとても面白い。タバコは色々なことをしましたね。そして、色々な所に行ったも面白い。私はタバコがきらいですが、このタバコはオケ(OK)だと思っています。でも、終わる時が少しかなしいね。

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  3. チョ、ヤンヒ2010年3月4日 5:21

    私はそのストリーをすっごくよく読みました。生命と寛恕もないタバコが経験したことだけど、色々な寛恕を私に起こしました。変と思うかどうか分かりませんが、私が一番好きだった部分はガンジス川の部分です。タバコはとても悲しいことを思っているけど寛恕を描写する言葉はどこでもなかったからです。とても面白かったです。

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